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住宅に限らず、お店や事務所等の部屋を構成するのは、窓や出入口を含む壁、天井、そして床です。勿論、新築やリフォームを検討する際には、それぞれについて材料や色、工法などを検討していくことになります。そして、壁、天井、床の中で、床だけは特別なものと言ってもいいような気がします。床だけが特別な理由、それは、人が常に触れているということです。勿論、ソファーに横になっていたりすれば別ですが、基本的には人は床の上にいます。これは、使用する材料を選ぶ際のポイントとなります。そんな床材の中でも、今、最もポピュラーなのが、フローリングではないでしょうか。それでは、そんなフローリングについて見ていきます。
○床をフローリングにするメリット・デメリット
フローリングを用いた床が人気なのはご存知だと思いますが、畳やクッションフロア、タイル素材などの代表的なものと較べて、改めて、床をフローリングにする際のメリット、デメリットについて見ていきます。
まず、メリットについてですが一般的に次のようなものがあげられます。
・見た目が綺麗でお洒落な感じがする。
・清潔感があり、ダニ等の心配が少ない。
・掃除やメンテナンスが楽だ。
・丈夫で摩耗することがない。
・木の肌触りが心地良い。
次にデメリットですが、
・冬場など、特にひんやりする。
・硬い、滑りやすい。
・傷がついてしまいやすい。
といったことがあげられます。
勿論、フローリングが普及した背景には、生活様式が洋風化し畳に炬燵よりも床に椅子やソファーといった暮らしが定着したことが大きいかもしれませんが、上記のようなメリット、デメリットを考えてフローリングを選ばれる方が増えています。
○フローリングの種類
では、一口にフローリングといってもその材料の構造や材質から色々なものがありますが、大きく分けて無垢フローリングと複合フローリングとに分けて考えることができます。
無垢フローリングは単層フローリングとも言われます。文字通り無垢材の他にも集成材を使ったものを指すこともありますが、ここでは天然木からできた1枚板の無垢材を用いたものとさせていただきます。天然木から切り出した、貼り合わせていないものなのですが、表面の仕上げは、オイルやワックスのような自然塗装で仕上げられたものと、ウレタン樹脂塗装で仕上げられたものがあります。それぞれ、仕上がり具合などは違うのですが、自然木の風合いや肌触りを楽しむためには、自然塗装がいいかもしれませんが、耐久性などの点では劣る部分があります。
一方、複合フローリングと呼ばれるものは、合板や集成材などの上に天然木の単板や特殊シートを貼り併せたものとなっています。住宅の大量供給が始まった昭和40年頃から見かけるようになったのですが、最近はダニ等のアレルギー対策としても用いられるようになりました。
○無垢フローリングと複合フローリングのメリット・デメリット
フローリングには無垢フローリングと複合フローリングがあることを紹介しましたが、次にそれぞれの特徴をメリット・デメリットという形で見ていきます。
まず、無垢フローリングについてです。
<無垢フローリングのメリット>
・自然木由来の温かみや肌触り、香りがある。
・調湿性能が高い。
・複合フローリングよりも柔らかい。
・傷がついても、その部分を削るなどして補修することができる。
・長く使っている間に変化していき、独特の風合いが出てくる。
<無垢フローリングのデメリット>
・基本的には天然木を材料としているため、材料の均一性が確保できない場合がある。
・使用している間に伸びや縮み、反りが現れることがある。
・水分を吸い込んでしまうため、注意が必要だ。
・補修がしやすい一方、傷などもつきやすい。
次に複合フローリングについて見ていきます。
<複合フローリングのメリット>
・工場生産のため、材料に均一性があるため、空間に統一感を出すことができる。
・収縮や反りといったことが起こりにくい。
・仕上げによっては、色合いやイメージも含めて色々な製品を作ることが可能だ。
・耐衝撃性や耐摩耗性等耐久性に優れている。
・表面処理の仕方によっては、ダニや花粉などのアレルギー対策に有効だ。
・集合住宅などでは、階下の階等への防音対策にも有効だ。
・水分にも強く、メンテナンスが容易だ。
<複合フローリングのデメリット>
・硬くて冷たい感じがする。
・傷がつきにくい反面、傷がつくと、その部分だけを補修することができない。
・基本的には無垢材のような調湿機能がない。
・長年の使用によって劣化が目立つようになる。
○無垢フローリングと複合フローリングのコスト面での比較
無垢フローリングと複合フローリングついて見てきました。それどれの特徴についてはご理解いただけたと思いますが、今度は、大切なコスト面について見ていきます。勿論、実際には、それぞれに色々な材料や製品があり単純に比較はできない部分もありますので、あくまでも目安として参考にしてください。
・無垢フローリング
複合フローリングよりも高価になることが多いです。
例えば代表的な素材であるオーク(ナラ)の無垢材を使用した場合、だいたい平米あたりの単価は施工費込みで15,000円から30,000円ぐらいが目安となります。値段に大きな幅があるのは、無垢材の場合、同じ樹種でも使用する材料によって違いが出てくるからです。具体的には、木目や節とったものになり、節を例にとると、節が少ないほど高価になってきます。
・複合フローリング
複合フローリングの場合、同じようにオーク材の仕上げのもので、平米あたりの単価は8,000~20,000円程が目安となります。無垢に比べるとコストは抑えられるのですが、こちらも上に貼る単板や仕様によって値段が変わってきます。やはり無垢に近い風合いのものや、性能面で優れているものや幅広タイプなどデザイン性のあるものは高価になります。
また、リフォームでフローリングを貼る場合は施工の方法によっても大きく値段が変わってきます。既存のフローリングに重ね貼りする場合と、一度フローリングなど既存の床仕上げ材を剥がしてから施工する場合とでは、かなり値段に幅が出てくると思ってもらっていいでしょう、剥がす手間賃と剥がした床材を処分する費用がかかってきますから。
フローリング床について見てきました。今回は、大まかに無垢フローリングと複合フローリングの違い、それぞれのメリットやデメリットについて見てきました。実際には、それぞれ、材料となる木や仕上げ方法等によって色々な製品があります。まずは、無垢と複合、それぞれを理解してどちらにするかを決めてしまうというのが、スタートとしていいかもしれませんね。その上で、お好みのものを選んでいくというのが1番確かな気がします。やはり、何事においても足元は大切です。身体に触れる部分でもありますし、壁や天井に比べて目立たなさそうでも、案外、床がその部屋の印象に与える影響というのは大きなものがあります。しっかりと、そして楽しみながら選んでくださいね。